2013年3月27日水曜日

クルマ本体では利益が出なくなる未来













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現在、中古車販売を行なっている業態の多くは、将来的にはクルマを売る商売ではなくなります。

近年、ユーザーの趣味嗜好が多様化してきた結果、世の中に大ヒット商品が出にくくなりました。当然クルマにも同じ事が言えます。何が売れるのかわからなくなっているのです。

中小規模の販売店は、ユーザーの多様な趣味嗜好に対して、展示場に置いてある在庫だけでは対応できない状況になってきています。この先、展示場にクルマを並べて販売するスタイルを継続していけるのは、大規模展示場を持った大手の販売店だけになっていくでしょう。

新車販売をみると、HVやコンパクト・軽自動車が上位を占めている状況です。
これは一時的なトレンドではなく、今後かなりの長期にわたって続いていく大きな流れです。環境性能が高く経済的なクルマであることが重要になります。

当然、中古市場においてもHVは注目度が高い商品です。
しかし、HVはディーラーが囲い込みを強力に行っています。
徐々にディーラー以外が扱うことが難しくなりつつあります。

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ディーラーによってHVが囲い込まれると、残る他の売れ筋としてはコンパクト・軽自動車になります。しかし、これらの車種は利益が薄く、車両単体では収益にあまり貢献をしません。保険やナビの取り付けなど、周辺部分で利益を出す必要があります。

在庫を大量にストックできず、在庫車両単体では利益を出すことも難しい。
そうした状況になった場合、在庫を持たないことがひとつの合理的な解になります。
車両はユーザーの希望を確認してから仕入れる、つまりは注文販売になっていきます。

一般的に注文販売になった場合、利益は薄くなる傾向にあるため、車両本体以外での収収益化が必要になります。

つまり、こうした店舗の場合、販売している商品は「付随サービス」であり、
車両本体はサービスを販売するための仕組みの一部に過ぎないのです。

車両本体の販売は、利益の源泉ではなくなるということです。
中古車販売店の多くは、サービス販売店になっていくのです。

この変化の過程で重要になるポイントは、
サービス販売による収益で運営していける体質へ如何に移行するかということです。

この点をスムーズにタイミングよくシフトしていけないと、
後々苦しくなっていくでしょう。

また、無在庫販売を可能にする仕組みも重要になっていきます。
オークションや共有在庫市場などは、利便性を高める工夫がもっと必要です。

店舗側の体質変化というソフト面と、無在庫販売を可能にするインフラ的なハード面、この両者が揃うタイミングが近々訪れるはずです。

変化に要注目です。