2014年3月5日水曜日

「ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体」を読んでみてクルマに関わる部分で思ったこと。














photo credit: Marcus T Ward via photopin cc


「ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体」を読んでみた。

一口でいうと、この本でカテゴラズされている「ヤンキー」とは(本書ではマイルドヤンキーと言われている)地元友達との変わらぬ関係性を強く望み、既知の物事にしか関心を示さず、旧来型の消費マインドを持ち、上「京」・上昇志向を持たない若者層といったところでしょうかね。

このマイルドヤンキーは、若者の◯◯離れという話とは異質の存在で、酒、煙草、ギャンブル、ブランド品、クルマ、バイク、ギターなどへの消費意欲が旺盛で、優良な消費者なのだそうな。

対人関係が狭いので、人間関係にお金を使うことが少なく、自分の趣味や嗜好品にお金をかけることができるらしい。また、マイルドヤンキーは比較的ITリテラシーが低めで、スマートフォン率は高いものの使いこなせてはおらず、また、積極的な情報収集は億劫がる傾向にあるとのこと。

若者の二極化が進んでいますよ、ということらしい。中間層は没落してしまったので、消費行動もマインドも異なる「上」「下」の層に別れ始めていて、優良消費者である「下」に企業はリーチができていない。マイルドヤンキーの生態を深く知ることができれば、新しいビジネスチャンスがありそうですよーってことみたいですね。

さてさて、この本で我らがクルマのことにも言及されていましたよ。
マイルドヤンキーにはクルマが必須らしいです。地方在住のため、インフラの問題からクルマが必要というケースもあるが、このマイルドヤンキーは都市部にも見られる層であって、交通インフラとは関係なくクルマ志向なんだそうです。

それはなぜかというと、彼等は電車移動が嫌なんだとか。クルマで仲間と一緒の空間を共有しながら移動することに価値を見出しているので、みんなで一緒に移動できるツールとして、クルマはかなり重要なアイテムということみたいです。なので、ミニバン志向。セダンやスポーツカーではない。しかも、ミニバンのラグジュアリー志向らしいですよ。アルファード万歳! 最高! みたいですわ。

また、マイルドヤンキーはクルマをカスタムすることにも積極的らしいです。昔のように他者を威嚇する方向のカスタムではなくて、仲間内へ向けた、仲間に褒めてもらいたいがためのライトなカスタムみたいですね。”ライト”とは言っても、わざわざカスタムするような若者が減っていることを考えれば、そっち方面でも確かに優良顧客かもしれないですね。

あと、実際に最近よく聞くのは、地方では女の人の方がカスタムをよくするらしいです。軽やコンパクトを自分仕様に「かわいく」する人が結構いるそうです。そこいらのおにいちゃん達よりも積極的だとか。かわいい系のライトカスタムって商品がチラホラ出始めていますが、これから伸びしろのあるトコロかもしれないですね。

また、本書ではクルマ系で考えられるマイルドヤンキー向けのビジネスとして、高級外車の共同所有やシェアリングサービスを上げていました。パーク24のシェアリングサービスの講演でも、高級輸入車を利用する若い人が多いと言ってました。深夜帯に高級輸入車を格安で利用できるプランを用意したら、若い人たちが近場をウロウロしたり、少し足を延ばしてドライブしたりに使っているということでした。どこに行くかが重要ではなく、仲間で空間を共有して移動するということに価値を見出しているという話とも合致するわけです。って、そんな傾向は昔からあったよう気もしますがね…。無目的ドライブ。みんなでダベりながら夜中にただただドライブ。

まぁ、なんにしても、興味深い知見が得られるなかなか面白い本でした。