あらためていうまでもなく、中古車の最大の訴求ポイントは価格です。
しかし、正確に表現をするのであれば、価格と品質のバランスがリーズナブルであると判断される場合においてのみ訴求ポイントとなります。
あたりまえですが、安かろう悪かろうでは訴求ポイントにはなり得ません。
そして各種調査からも明らかになっていますが(これまた自明の理ですが)、ユーザーが中古車を購入する場合にポイントとする部分は「安心」「安全」です。
また、その他にポイントとしてあがってくるのが、タバコやペットの「ニオイ」。
前ユーザーの使用方法などの「素性」といったところになります。
まだまだ項目はありますが、上記が代表的なポイントになるかと思います。
しかし、これらの項目はユーザーがポイントとしているにも関わらず、ほとんどの場合、数値化などの客観的なデータにはされていません(厳密にいえばまったくない訳ではありませんが)。
データ化されていないため、ユーザーが自力でこれらの項目を軸としてクルマを探すことは、現状では非常に困難であるといえます。
なぜこれらの項目はデータかされていないのでしょうか?
ワタシが推察するに…
①オフィシャルな基準が存在しない。
これらに関する公的な統一された基準が存在しないため。
②中古車販売にオフィシャルな資格や許可が存在しない。
そもそも中古車販売には公的な資格や許認可が必要ではないため、
統一されたオペレーションを行うといった義務が存在しないため。
③コストが発生する
とうぜん数値化やデータ化は自然には行われません。
ヒトが介在して動くということはコストが発生します。
このコストを誰が負担するのかという問題があります。
まとめると、
ユーザーは必要としているが、提供側に仕組みが存在しないために実現していない。
また、手間やコストを勘案すると、積極的に整備したい仕組みではないし、義務もない。
といったところでしょうか。
しかし、逆をいえば、これらの項目をきっちりデータ化する仕組みを構築して、積極的に開示していけば、他社とは違うビジネスを展開する余地が十分にあるということになります。
別に公的な基準が制定されることを待つ必要はありません。業界団体などが音頭をとってくれることを待っている必要もありません。自主的な取り組みでも十分に訴求力があります。自主的な基準をきっちり明確にし、公示してフェアに展開することだけでも、大きな違いを生み出せるでしょう。
Webがそうした小さな取り組みにスポットライトを当ててくれる状況が整いつつあります。
ユーザーの多くがネットで下調べを十分に行って購入を検討するということが、各種調査で明らかになっています。そうした取り組みをユーザーはつぶさに見ています。
また、放射能の問題もあります。多くのAA会場や各種団体では、突っぱねる強硬な姿勢で対応していましたが、そういう訳にもいかなくなりつつあるようです。これまでは一部の輸出屋さんが問題視しているだけといった風潮でしたが、一般にも中古車に残留する放射能について、また、その流通についてが知られ始めています。小売の現場でも、数値の開示などが求められるようになる日も遠くないと思われます。
様々なデータや数値を採取する仕組みや、それらの情報を組み込んだオペレーションを構築することが、今後ユーザーの信頼を得ることにつながっていくと思われます。