2012年3月11日日曜日

委託販売について考えてみる

最近、ワタシは委託販売に注目しています。モデルとしては以前から存在していますが、その合理性と世の中の時流がマッチするタイミングが、近く必ず訪れると考えているからです。

以前から消費税が上がるとクルマの個人売買が増えると言われています。近頃は消費税の増税が現実味を帯びてきていることもあり、機が熟しつつあるのではないかと思います。

なぜ委託販売が合理的なのか?それは、中古車の売買が抱える問題点として、価格の妥当性が不明であるということにひとつの理由があります。

ユーザーが下取りや買取りにクルマを出した時に、何故その価格なのか?その価格は高いのか?安いのか?の判断がつきません。多くは特別な情報源もないため、参考にできるのは小売価格ということになります。

ユーザーは対業者になった場合に、小売価格とは違いが生じるものだということ自体は、知識として理解をしています。しかし、値差の根拠や信憑性については情報も少なく、理解できていません。つまり、ユーザーにしてみれば、業者が提示する価格は納得感に欠けるものなのです。

その点、委託販売は自分の感覚に近い価格で買い手を募ることができます。かかる費用も明確で、ここには納得感があります。そして、自分の感覚による値付けで売れなかった場合も、結果がキチンと存在しているため、そこには納得感があります。委託販売は売り手の心理に沿った手法だといえます。

また、この手法は、買い手側ユーザーに対しても利点を持っています。買う側が持つ不安のひとつとして、クルマの素姓、来歴がわからないというものがあります。しかし、委託販売なら所有者が分かっているクルマということで、買い手側の不安を和らげることができます。

そして、この委託販売は販売店にとってもメリットがあります。販売店自身が在庫リスクを抱えることなく、展示在庫を増やすことができるのです。小売が厳しい現状において、在庫コントロールの重要性はますます高まっています。リスクのない在庫というものが存在するならば、それは非常に価値があります。また、委託による販売が不発に終わった場合は、そのまま買取れる可能性も出てきます。新鮮なタマを仕入れる機会を、創造することにもつながります。

このように、委託販売はwin-win-winの関係を構築することができるモデルなのではないかと考えます。そして、個人的には、そこへ新しい要素が加わる可能性があるモデルなのではないかとも考えています。

一台のクルマについての情報を公開していく(現所有者)、情報を取得していく(購入検討者)、という行動を深化させていくと、ユーザー同士がクルマの取り引きを通じてつながっていく、ソーシャルな要素が付加されていくのではないでしょうか。ユーザー同士が直接つながっていけば、それはきっと新しい流通になっていくはずです。

日本はクルマに関する制度が複雑であり、また、中間流通のシステムが非常に発達している。なので、欧米とは違い個人間売買はそこまでは浸透しないという見方もあります。がしかし、間にプロが入って、素人ができない部分を受け持ってくれるのであれば、個人売買は日本でも十分ありえると思います。委託販売というカタチで、個人がクルマを直接流通に乗せてくることは、今後もっと増えてくるのではないでしょうか。新しい流通は必ず出現します。変化を見逃さないことです。