2013年4月19日金曜日

中古車販売店は専門店になることで生き残る













photo credit: Jack Snell "Snappy Jack" via photopin cc

以前に、専門店が有利になっていく理由をインターネットの動向から述べましたが、これからは専門店に有利な時代になる!!中古車流通市場の動向からも、専門店化することのメリットを導き出せます。

新車販売の低迷や使用年数の長期化などにより、中間流通市場では質の高いタマが減少しています。2012年にオークションで成約になった車両の約50%が、走行距離10万km以上の車両でした。小売向きの標準レベルとされる5万〜7万kmの車両は、全体の25%しかありません。流通車両の質の低下は確実に進行しています。戦略的なユーザー買取スキームが求められるようになる

つまり、”売れ筋車種の良いタマを確保して展示をする”という、従来は多くのお店の基本的な戦略だったやり方が、これからは非常に困難な手法になるということです。自動車に限らずユーザーニーズの細分化が進んでいるため、何が売れるのかが非常に掴みづらくなっています。売れ筋が何なのかがわかりづらい、わかったとしても良いタマが見つからない。他社との競争は激しくなる一方です。

売れると思われる車種を平均的に取り揃える、このやり方を選択できるのは一部の大型店だけになります。中古車販売店の多くは小規模零細です。在庫の物量や多様性ではとても勝負ができません。また、ユーザー側のマインドとしても、多種多様・豊富な選択肢から選びたい場合は、中古車検索サイトを利用するでしょう。一店舗の在庫車の中からクルマを選ぶという行動は、Web上ではなくなりました。一店舗が多種多様・豊富な在庫を持つ合理性もなくなったのです。

では、どうしたらよいのか。この問に対する答えが冒頭の専門店化です。”売れ筋車種の良いタマを確保して展示をする”という多数派戦略からの脱却が必要です。あるカテゴリに特化して他社とは違うポジションを確保するのです。インターネットの深化により、ニッチなものほど売れるようになっていきます。特化をしていることが、インターネットに見つけてもらうための重要なポイントになります。

また、”良いタマ”の仕入れに関しても、専門店化することで他社との違いを持てるようになります。あるカテゴリに特化すると、その対象となるクルマの買取案件が直接くるようになります。なぜならユーザーは、自分のクルマの価値を理解しているお店に買い取ってもらった方がよいと考えているからです。極端な例ですが、旧車オーナーがクルマを手放す時、一般的な買取店に査定をお願いするのではなく、旧車専門店に持ち込むことがほとんどです。場合によっては、購入したお店に持っていくことも少なくないでしょう。

市場から”良いタマ”が減っているなかで、ユーザーから直接仕入れができるということは、非常に大きなアドバンテージになります。一般的な専業店に入庫してくるクルマは車種も品質もバラバラなため、自店でそのまま再販できるとは限りません。しかし、専門店であれば、入庫してくるクルマは自店で取り扱っているカテゴリに関する車種である可能性が高く、再販につなげやすくなります。

これからはオークションで”良いタマ”は流通しなくなります。オークション以外の仕入れルートを持つことが重要なポイントになります。小売面だけでなく、仕入れ面でも専門店化することのメリットは高くなっていくでしょう。